子の放置死、6歳を責めた母に裁判長「過酷で非道」
「何の罪もないわずか6歳の長男に責任を転嫁し、多大の精神的苦痛を与えた過酷で無責任な言動は悪質極まりない」。埼玉県三郷市の保護責任者遺棄致死傷事件。さいたま地裁の中谷裁判長は判決言い渡しの中で、事件後、自分を責め、被告をかばう長男に深く同情した。約20分の判決の間、被告はまっすぐ前を見てほとんど動かず、聴き入っていた。
3月3日、被告は「ママはもう戻らない。後はよろしく」と双子の世話を長男に託して家を出た。長男には、同じ3階建て住宅に住む被告の祖母を部屋に入れさせないよう厳しく言いつけもした。
被告の家出後、死亡した次男はずっと泣いていたという。不安や寂しさを感じた長男が1日数十回、母親の携帯に電話をしても、ろくに相手をしてもらえなかった。泣き声を聞いた被告の祖母は部屋に入ろうとしたが、「ママに怒られるから」と長男に拒まれたという。
交際相手と遊んでいた被告は1日1、2回程度、ファストフードのハンバーガーやパン、菓子などを玄関まで持ってくるだけ。量は足りず、長男は常に腹をすかせていた。双子のおむつは一度も替えられず、部屋は次第に残飯やゴミで覆われていった。
3人が生活を始めて約10日後の12日夕。「弟が大変。起きない」。長男のSOSに被告は家に戻ったものの、部屋に入る勇気がなく、再び家を出て居酒屋で酒を浴びるように飲んだという。
翌13日、長男から再度、電話。「弟はまだ起きない」。被告が14日未明、次男がいる部屋に入ると、次男はゴミや便が散乱するベビーサークルの中で仰向けになり、口を半開きにして死んでいた。
島村被告は泣き叫びながら、次男の名前を呼んだ後、長男の顔を平手でたたいた。「ママの子として失格。ママも悪いが、お前も悪い。自分一人でご飯食ってんじゃない」
事件発覚後、長男は検察官の調べに対し、「ママにお前はクビだと言われた。僕が世話しなかったから。僕が全部悪い」と自分を責めたという。一方、公判で島村被告は「育児が大変で自分の時間が欲しかった。(子どもたちを放置すれば死に至ることは)分からなかった」と述べていた。弁護側は「親族らの協力が得られず、育児放棄になりやすい状況だった」と情状酌量を求めた。
中谷裁判長は判決言い渡し後、島村被告を証言台の前に立たせて、「子どもたちにしたことはあまりに過酷で非道。十分反省して、二度とこういうことをしないよう強く期待します」と説諭した。
埼玉県越谷児童相談所によると、長男と長女は現在、同相談所のもとで保護されているという。
6歳の男の子の苦しみを思うと胸が痛すぎる。
映画「誰も知らない」を思い出す。
ほんとうに、驚くほど酷似している。
もう一つ、大学時代に発達心理学の授業で習ったことを思い出す。
それは「男のほうがヴァルネラビリティ(=被損傷性)が高い」ということ。
それは、先生の研究対象であったネグレクトを受けた姉弟の、
救出後の回復度合いに差が出た理由の説明で初めて聞いた言葉だった。
「男性のほうが、遺伝病や環境の諸問題に対する被損傷性が高い」ことが
研究で知られているという。
その姉弟も、姉に比べて弟の回復は遅かったらしい。
やっぱり今回の事件でも、男女の双子で男児は死亡してしまった。
別の新聞記事によると、6歳のお兄ちゃんが双子を笑わせようとすると、
女の子は笑ったが男の子は泣きっぱなしだったという。
同じ日に生まれ、同じ母親から同じ育て方をされてきただろう2人に現れた明確な違い。
まさに性差によるヴァルネラビリティの違い。
なんだかずっと記憶にひっかかっていた言葉だったけど、
実生活で見聞きする中で「これか!」と思った今日だった。
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